2022年は、はさみ「フィットカットカーブ」の発売から10年を記念するアニバーサリーイヤー。そこで、世界初の文具トークライブユニット「ブング・ジャム」のお三方に、フィットカットカーブのことについて、あれこれ語っていただくという、開発者冥利に尽きるスペシャル座談会を企画しました。第2回目は文具業界への影響と、1番よく使うフィットカットカーブについて語っていただきました!
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インタビュー
発売10周年記念 スペシャル座談会<第2回>
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- 発売10周年記念 スペシャル座談会<第1回>「僕たちとフィットカットカーブの10年」
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インタビュー
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2022年は、はさみ「フィットカットカーブ」の発売から10年を記念するアニバーサリーイヤー。そこで、文具トークライブユニット「ブング・ジャム」のお三方に、フィットカットカーブのことについて、あれこれ語っていただくという、開発者冥利に尽きるスペシャル座談会企画しました。
「フィットカットカーブ」が文具業界に与えた影響
- 高畑
- 2012年、フィットカットカーブの登場で、刃の形状がはさみの開発ポイントとして有効であることが顕著化して、以降、各メーカーからいろんな形のはさみが出たよね。
- きだて
- カーブ刃とか引き切り機構とか、いろんな“変態はさみ”がどんどん出てきた。
- 他故
- おかげで、はさみ売り場が一気に華やかになった。あんなこと今までなかったもん。
- 高畑
- はさみ売り場の拡大は、“スティックはさみ”の台頭も起因していると思う。学校でプリントを使う授業が増えて、携帯はさみに対する学生の需要が増えたんだよね。でも、そうこうして盛り上がるはさみというジャンルの中で、そのど真ん中を“普通のはさみなのに新しい”フィットカットカーブが押さえたインパクトは、凄く大きかったと思うな。
どセンターで、ニューベーシックとしての地位を確立したフィットカットカーブは、別のジャンルでいうところの、ポカリスエットであり、カップヌードルであり、カロリーメイトであり、ジェットストリームなんだよね。その分野の開拓者でありながら不動のセンター。
- きだて
- それに、見た目に特殊性が薄い、というのも大事。普通のはさみだから、今や「はさみといえばコレ」という感じで、はさみのアイコンにもなってるよね。
- 他故
- うん。今、幼稚園児が、はさみの絵を描いたら、刃がカーブしてるはさみを描くかもしれない。
- 開発者
- 握りやすさや持ちやすさをこれ見よがしに表現しないで、ごく普通のはさみにしようと、デザイナーさんたちと話し合いました。この普遍的な形状も、ヒットした要因のひとつかもしれません。
- 高畑
- 僕は、地味に、握りの後ろの角に、滑り止めを出してるのが好きだったりする。
- きだて
- はいはい、小指置きね。
- 開発者
- おっしゃっていただいた小指の部分やグリップの握りやすさは、フィットカットカーブの前身のはさみ「フィットカット」の評価されているところをなるべく引き継ぎました。
- 高畑
- 見た時にわかりやすく、「指掛けを付けました」じゃなくて、「ちょっとだけ、滑りにくくしておきましたよ」という抑え方がいいよね。
フィットカットカーブシリーズの中で、一番よく使うはさみは?
- 高畑
- 「フィットカットカーブ 料理はさみ」。
- きだて
- 俺も!
- 他故
- 実は、俺も。
- 高畑
- あ、そうなの!? 一番雑に使う、一番何でも切っちゃう。汚れたらじゃぶじゃぶ洗えるし。
- きだて
- 食洗機に放り込めるからね。
- 高畑
- キッチンのシンクのところに立ててあって、ほぼ毎日使ってるな。フィットカットカーブが一番活躍するのは、一番雑なところ、何でも屋さんなところだと思う。
- きだて
- 日常的な「あ、切らなきゃ」という衝動に対して、何を切ってもいいはさみは貴重だよね。
- 高畑
- 高くないから雑に切れるし、力がしっかり入るから、大概のものが切れる。
- きだて
- 3000円以上のはさみともなると、紙を切る以外のことに躊躇するからね。
- 高畑
- そう。でも、本来はさみは、切るものによって、そうやって使い分けるべきものなんだよね。うちは実家が縫製業を営んでいて、服を縫う工場だったから、布用のはさみで紙を切ろうものなら、めちゃくちゃに怒られたわけ。はさみには、そういった棲み分けが当たり前のようにある。ところが、フィットカットカーブは、そういうことを考えなくていいジェネラルユース。
- 開発者
- フィットカットカーブは当初、“家庭用はさみ”と銘打って発売しました。高畑さんのおっしゃるように、何を切ってもいいはさみは、それまで各家庭に存在しなかったんです。代用されていたのは、紙を切るための“事務用はさみ”。だから、家庭でのありとあらゆる切る用途、そのすべてに応えられる、家庭用はさみを作りたいというところが、フィットカットカーブ開発のスタートでした。